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12月号: 理想と現実の狭間―大きな失敗・小さな成功の芽―
2002年第3回スペシャルオリンピックス日本(SON)夏季ナショナルゲーム東京の財産


 SON東京創立15周年のグラフを見ると、2001年のアスリート数333名に対し、翌年は556名と大幅に増加している。これは、2002年に開催された夏季ナショナルゲーム(NG)によって、SOへの認知度が拡大した結果である。
 当時スポーツプログラム(SP)委員長であった私はこのNG競技部会副部会長として、大多新雅子さん(SON職員・当時)とともに、暑い夏の数ヶ月各方面に走り回った。大会が終わって、苦い思いを込めて私は表記のような、感想を残した。
 本大会は、開催の3年前2000年にSONがコンペ方式で開催主管地を選んだ。東京は3つの意義と4つの目標を掲げてこのコンペに参加し、決定された。
 第1の意義は『SOに対する認知度の拡大』である。これは前述の様に、着実な成果をあげた。
 第2は『練習成果の発表』である。前回神奈川NGの参加アスリート300人にくらべ、1,000人を超えるアスリートたちが各競技で素晴らしい活躍をみせて、多くの感動をあたえてくれた。
 第3は『ボランティアの啓発』である。これまで口コミなどで、限定された範囲しか浸透していなかったSOの活動が、インターネット等の新しいツールの活用により、今までに無い人材が集まってきた。トーチランの参加者は20地区、6,755名と飛躍的な数の人がSOのムーブメントに参加し、ウォルト・ディズニー・インターナショナル・ジャパンも全面的に協力してくれた。これら、ボランティアの方々が、現在のSON東京運営の中核をなしており小さな成功の芽といえる。
 ところで、目標の第1は『オリンピック選手に準じた競技場・宿泊施設』で、30年の歴史と社会的認知度のことなるSO国際本部の理想をそのままとりいれられた。
 目標の第2は『より多くの参加者』そして、第3は『より開かれた大会に』として、SOの会員のほか育成会と提携して、まだSOに参加していない非登録者にオープン参加形式でよびかけた。さらに、アジア地区からも5カ国から参加することになった。
 理想としては必ずしも間違ってはいないが、現実との乖離があまりに大きいものであった。
 宿泊者は2,000名を超えたため、宿泊はオリンピック記念青少年センターと、調布市にあるNTT東日本研修センターの2箇所に分散せざるをえなかった。競技会場も代々木公園陸上競技場(陸上)、オリンピック記念青少年センター(バスケット・体操)、シチズンボール(ボウリング)、NTT東日本研修センター(卓球・バドミントン・テニス)、調布市総合体育館(水泳・バレー)、東京スタジアム(サッカー・フライングディスク)の6箇所に分散してしまった。
 このうち、バレー・フライングディスク・バドミントンは、東京のプログラムでは未だ実施していないものであった。東京スタジアム(現味の素スタジアム)では、サッカー(参加アスリート111名)とフライングディスク(同36名)のため、巨大な施設利用が当初から組み込まれてしまった。
 当時、競技運営の中心は東京のSP委員会メンバーで、委員会では、会場を出来るだけ集約し運営の効率を考慮する事、非登録者(SON東京の会員以外で育成会の組織からの参加)については、実態がわからず責任をもった運営が出来ないなど強硬な意見が続出した。競技部会責任者の一員として、私は現場のこうした声を組織に伝える事ができなかった事が大きな失敗であった。
 大会組織図には、実行委員166名、競技委員375名が記されているが、事前に十分な検討は行われず、当初の方針を変更できなかった。そして、大会が開催された。
 競技会場、宿泊施設へのアスリートの輸送のため、85台のバスを運行したが限られた時間のなかで、オペレーションは困難の連続であった。調布の本部では、不眠不休のボランティアが準備不足のため、次々におこる不測の事態に必死に対応してくれた。
 競技会場でも東京SP委員会の競技専門家達がなんとかそれぞれの役割をはたしてくれ、競技を一応完了する事が出来た。SON東京当時のマンパワー、組織力ではまだ、理想を達成するには、あまりにも、差がありすぎた。報告書によると、行方不明発生は7名とあり、安全面では本当に薄氷を踏む大会であった。
 目標の4は『未来につながる大会とボランティアの参画』であった。結果として、このNGが残してくれた大きな財産は、NGに参加した新しいボランティアたちである。大きな試練を乗り切った経験が仲間意識と信頼を芽生えさせ、その後、SON東京の中核として活躍している。きちんと、現状をみつめ、可能な範囲でSOの未来をめざし、日本のSO活動のリーダーとして一層活躍していく事を期待している。
 (ボランティア 上谷富彦)


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▲オリンピックセンターでの現地説明会

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▲ヘルプデスクのボランティア

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▲サッカーの海外選手たち

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▲開会式会場を埋め尽くすアスリート